会頭挨拶

美しき鍼灸 - 持続可能なヘルスケアと養生

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WFAS Tokyo/Tsukuba 2016
会頭 後藤 修司

鍼灸の歴史は、伝統と革新(イノベーション)の歴史である。文明の黎明期、新石器時代に「砭石(へんせき)」が中国で発明された。これは人類が疾病と闘うために創意工夫した原初的な医療器具とされている。時代が進んで、青銅器時代・鉄器時代と文明の発達と共に、鍼灸医療器具も文明の利器として、時代時代に、イノベーションしつつ、発展し現在に至っている。さらに、鍼灸医療は単なる医療器具や治療技術・治療理論の革新に止まること無く、その技術とあいまって、人の疾病と健康、自然と社会環境との関係にも深く洞察を試みてきた。

そしてその治療経験や情報を何十世紀にも亘って、蓄積したデータとして体系化し、東洋医学思想と為してきたのである。それは、生命とは何かという宇宙物理学領域が扱う壮大な哲学、科学をも含んでいる。また、現在では、人の生存に対する実践的医療として、現代西洋医学とのコラボレーションとしての統合医療、災害医療分野、介護領域や終末期医療、予防医療(養生)、全人的医療としての取り組み等々が行われている。今や鍼灸医療は、世界に広く伝播され、普遍的(Universal)でありながら、各地域固有の文化と融合した多種多様性(Diversity)のある、「最も古く、そして最も新しい健康観を内包した医療」として各国国民に受け入れられている。

これからの鍼灸医療の目指すところは、人類共通の医療資源として生命・生存・健康を一連(ひとつらなり)のものとして捉え、従来の伝統的な枠組みに止まらず、社会の変革や疾病の変化に対して柔軟な姿勢を持ち続け、常に自己改革と社会が求める意義ある価値を創造し、未来にあるべき持続可能なヘルスケア(Sustainable Health Care)のモデルをダイナミックに提示することである。それこそが「いのち」の輝きを支え続ける「美しき鍼灸」の創出に他ならない。

23年ぶりの日本での開催となる今回の学術大会は、以上のような趣旨にのっとり、有意義で実り多い大会に なるよう、鋭意準備を進めています。多くの皆様のご参加を心から歓迎いたします。

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